そして2月5日、兄の挙式。
「和樹くん、幸せだねー」
綺麗なよそ行きの洋服を着ている奈実乃。
懐かしい、家の向かいの夫婦の結婚式を思い出すや。
久しぶりに会った知人や、兄の同級生たち。
ザワザワと盛り上がり、準備も整った。
「新婦、入場です」
ガチャと大きなドアが音を立てて開く
。
扉が開くと、そこだけ眩しく輝いて見えた。
真っ白のいかにもなドレスに身を預けて、兄の元へ一歩一歩。
隣に立っている奈実乃。
昔のように何かを言いそうな顔ではない。
〝 お兄さんとお姉さんお似合いだね〜〟
〝私にもそんなお似合いな人に出逢えるかな?〟
その言葉を期待していたのにな。