お母さんに教えてもらって、
浴衣を着付けられたけど、
なんだか、今日はお母さんに
着付けて欲しい気分だった。



「わかったわ。」


「あと、髪の毛もお願い…」


「…………っうん……」



そう言って私の部屋に入るお母さん。


きっと泣いているんだ。
絶対に私には泣いている姿を見せないけど、
今も泣きそうなんだ。


「ねぇ、お母さん?」


「何?愛……」


「似合うかな?」



浴衣も髪の毛もきちんとしてもらってから、
お母さんに語りかける。



お母さんは全身鏡越しに、
ニッコリと微笑んで
「とっても似合ってるわ。
素敵よ愛……」



そう言ってくれた。



「ありがとう…行ってくるね!」



私は部屋を出て、
まつりが待つ待ち合わせ場所まで、
ゆっくりと向かった。