一番近くに居たから。


近くに居たから。



圭ちゃんの好きな人も知ってたし、
お姉ちゃんに好きな人が居て
圭ちゃんの気持ちに気づいてないことも
全部知ってたから。



私は何も言えずに見てるだけだった。


もっと大袈裟に、
想っていることを出せていたら。


今こんなに苦しむ必要なかったのかな。


圭ちゃんが落ち込んで居るのに、
私は何もしてあげられない。



「……あ、授業始まってるな。
引き止めて悪かった!」


「あ、いえ、では失礼します!」


私は走って教室へ戻った。



もちろん…授業に遅れたから
先生に怒られちゃったけどね。



私は肩を落としながら席についた。