「…圭ちゃんお店に入ろう…」
わかっていたけど、
ここは道端で。
恥ずかしくなった私は、
圭ちゃんにそう告げ、圭ちゃんから離れた。
「そうだね」
そうして、私達は付き合って初めての
小さなデートをした。
帰り道、
圭ちゃんが着ていたコートのポケットに
手を繋いだまま一緒に入れてくれた。
すごく暖かかったけど、
手のひらから伝わる、
鼓動や温度が恥ずかしさを増加させた。
「愛、手冷た」
「ごめんっ」
「あんまり冷やすなよ」
「うん…」
何気ない会話も、
嬉しくて飛び上がりそうなほどだ。
そんな楽しい時間はあっという間。
もう、家に着いてしまった。
「…愛、今日はありがと」
「あ、うん…こちらこそ、
素敵なレストランに連れて行ってくれて、
ありがとう……っ」
私はそう言って笑った。



