「孝太郎くん、ありがとね。ここに連れて来てくれて。」


「えっ!?」


「孝太郎くん、憶えててくれたんでしょ?
私が前に夜景の見えるとこで食事したいって言ったこと。」


千秋さん・・・


そう、俺は憶えていた。 


千秋さんが前に『夜景の見えるとこでご飯食べてみたいなぁ』って、言ったことを。
だから俺は夜景の見えるレストランを探したんだ。
千秋さんの喜ぶ顔が見たくて。



「それにあの割引券、私を連れて行こうといっぱい調べてくれたんやね?」


「えっ? いや・・・」


「本当にありがとう。私、本当にうれしいよ。」


「千秋さん・・・」


「こんな風に気を使って貰えたの何年ぶりかなぁ・・・本当にうれしい。」


千秋さんはそう言って微笑んだ。