「はぁ……仕方ない。山崎、自己紹介。」
「は、はい…監察方の山崎丞です。よろしく、仲川さん。」
『よろしゅう…』

……いやいや、新選組の監察方がこんなうっかりでええの? あかんやろ絶対。

「まあ、らなんと同じ平成人ってことで気が抜けていたんだろう。普段はこんなヘマしないやつだ。」
土方はんがフォローしてはるけど、うちとしてはあの有名な山崎丞の実態にショックが隠しきれへん。

「とにかく、仲川さんもいずれは平成に帰れると思うから、心配しなくていい。それまで、君の世話役は文之心だ。」
『はい、おおきに。』

確かに、らなんがまだシンガーソングライターとして全然売れてへんかった頃に行方不明やった時期があるって聞いたことあるわ。受験は諦めなあかんのやろうけど、無事帰れるんやったらひとまず安心やな。

「さあ、文之心。仲川さんに屯所を案内してやって来い。」
「はい。ほら、行くぞ。」
『はーい。ほな失礼します。』

せやったらせっかくの幕末、せっかくの新選組屯所や。楽しまな損やで!