「え？代理の先生のお手伝い、ですか？」

雅人があたしを連れ出して、よくわからない話をしたその日、あたしは職員室に呼び出されていた。

しかもまた放送…

いい加減やめてくれないかなぁ…

そろそろ『裏』出現しちゃいますよ…？

と、まあ。

あたしの事情は置いといて。

「あぁ。今日その先生がいらしてな。それで最初は少し不安があるから、誰か頼りになる生徒を手伝いとしてつけて欲しいとおっしゃってたんだ。」

「はあ…。」

そのヤツどんだけ頼りねーんだか…

その前に…

「先生、なんで私なんですか？他にも頼りになる生徒はいると思うんですが…？」

なんであたしなんだって話だよ！

生徒会とかいるじゃん！そっちの方がいいと思うけど⁉︎

「いやぁ〜…。
井ノ上は職員の間で1番頼りになる生徒だって有名だからなぁ〜…。
たぶんそれで校長が井ノ上の名前を出したんだろう。」

なんか嬉しいような嬉しくないような…

ま、しゃーない。やってやるか…

また平常点入れてくれるだろうからね。

あたしはニコッと笑って

「わかりました。お役に立てるかわかりませんが、やってみます！」

と、言うと先生の顔がパアッと明るくなった。

「そうか！やってくれるか！毎度悪いな、井ノ上。」

「いえいえ全然大丈夫です。」

悪いと思ってんなら少しは自重しやがれ！ったく…

そう心の中で呟きながら、先生の話を聞く。

「じゃあ悪いが、1週間後の朝のHR前に化学室に行ってくれ。その先生がいるはずだからな。」

「はい！わかりました！」

わざとらしくにっこりと笑って、ちょっと会釈をしてからその場から立ち去る。

くるりと向きを変えてから、ふっと真顔に戻る。

はぁ…もうめんどくさい……