君と僕の秘密。〜スキ?キライ?〜

「あ、ねぇ美寧。知ってる?」

昼食を食べ終えて教室に移動中、不意に莉沙が話しかけてきた。

あ、もちろん『表』に戻ってますから。

「なぁに?」

いつどこで、誰に見られているかわからない。

だから、あの屋上を出たら、たとえ莉沙や雅人の前でも『表』のあたしで接する。

「ほら、化学の中野先生、産休に入ったでしょ?」

「あー…うん、中野先生ね。で?」

「その中野先生の代わりに、代理の先生が他の学校から来るらしいんだけど…」

「うん知ってる。職員室で聞いた。」

職員室にしょっちゅう呼び出されているあたしは、いろいろな情報を仕入れることができる。

誰がどんな失敗をしたかとか、どんな点数を取ったとか、先生達のいざこざとか。

ネタになるような面白い話ばかりが溢れている。

そしてその中野先生の代わりに代理が来るって話も、職員室で聞いた話ってわけ。

「それでね〜!その代理の先生がとってもかっこいいらしいの!」

「…………は?」

思わず、一瞬『裏』になってしまった。

……なんだって?

「だーかーらぁー‼︎とってもかっこいいんだって‼︎」

ガセだね、そりゃ。

「莉沙、それはないと思うよ?」

「ふぇ?なんで?」

きょとんとした顔であたしを見上げる。

「だってそんなウワサ、教育実習生が来るたびに流れて、結局ハズレてるでしょ?だから今回も絶対ありえないって。」

あたしの学校では、積極的に教育実習生などを受け入れていた。

その度、「かっこいい先生が来る!」だの、「美人の先生らしい!」なんていう、つまらないウワサが流れていた。

まぁ、当たり前全部ハズレだったけど。

「だから今回もありえないから、ね?」

「うーん…でも今度来る先生は教育実習生じゃなくて、中野先生の代理でしょ?だったら可能性あるんじゃ……?」

「絶対ナイ。ほら、次の授業遅れるから先行くよー。」

莉沙はあたしと違って人を信じやすくて、ミーハーだからなぁ……。

待ってよぉ〜と、パタパタと小走りでついてくる莉沙と再び並んで、教室へ向かった。