君と僕の秘密。〜スキ?キライ?〜

「いっやぁ〜、毎度お疲れさん!美寧っ!」
と、嫌味ったらしく話しかけてくる雅人を無言でギロリと睨んで、バシッと頭を叩く。

「ってぇっ!何すんだよ!」

「うるさい。1回黙っとけ雅人。」

「み、美寧〜…雅人くん、かわいそうだよぉ〜…」

「いいの莉沙。コイツにはこんなん優しい方だから。」

そう言いながらカチャリとメガネを外し、しゅるっと髪を解く。

そして最後にネクタイをぐっと緩める。

「はぁ。落ち着くー。」

堅苦しい『表』から『裏』になった時の開放感はハンパない。

「おーおー。本物の美寧様ご降臨〜」

雅人は特に気にしない様子で、テキトーにぱちぱちと拍手をしてから、手にあったパックをズコーッと吸う。

コイツ、もう一発殴っていいかな。

莉沙はと言うと、じっとあたしを見つめて何やら考え込んでいるよう。

「莉沙?どした?」

「んー?美寧、こっちの方が可愛いのに、なんで『表』でもこーしないのかなーって。」

こてん、と首を傾ける姿は女のあたしでもキュンとする。
ホント可愛いな、もう……

「うーん…前に言ったことあるでしょ?
あたしは人を信用出来ないって。それでこうなっちゃったワケ。おわかり?」

ちょっとキツイ言い方になっちゃったけど、これはホントのこと。

あたしは莉沙と雅人以外を信頼出来ない。いや、出来ないんじゃなくて、信頼するのが怖いのか。

アイツのせいで、あたしは人を信用出来なくなった。

アイツがあんなコトをしたから。

だから、あたしはアイツにもう2度と会いたくない。

アイツはあたしの天敵。

だから、だから……‼︎

「おーい美寧ー。怖い顔になってっぞー?」

雅人の言葉にハッとする。

しまった、また考え込んでしまった…

「アレはもう忘れろ、美寧。過ぎたことだろ。」

雅人はあたしがなぜこうなったか知っている。だから、たまにこう言ってくる。

「うるさいな、わかってるよ。」

聞き飽きた。

わかってるから。

わかってても、忘れられないんだよ。

あのコトだけはーーー。

そうぼんやり思いながら、あたしはお弁当を食べ始めた。













天敵である、アイツが近づいてきているとも知らずに。