慎哉の言葉にひとまず落ち着きを取り戻した輝と夏希。
迷っている暇などないと窓からの脱出を試みる。
「平気か……?」
「っと…何とか……」
座席をよじ登りどうにか車外へと退避した輝は容易に夏希を引き上げた。
「夏希お前、重くなったんじゃねぇか?」
「なっ……失礼ね!変わってないわよ!」
こんな時でも冗談を言う輝だが、その笑顔はどこかぎこちない。
「盛り上がってる所悪いが、俺も上がっていいか?」
「あぁ悪い悪い。ほら手、貸せよ」
最後に残った慎哉へと手を伸ばす輝。
1人でも抜け出す事はできたが、礼を言う慎哉はその手を掴む。
「悪い、助か───!?」
「!?」
後少しで脱出成功。
3人共に安心しきっていた。
だがしかし、車内に残った慎哉の脚に触れた何か。
何が起きたか理解する事もできぬまま、慎哉の腕を掴む輝共々車内へと引きずり込まれ姿を消した。

