「良かった、思ったより早く此処から出られそうだ」
「これってよ、絶対ニュースになるじゃん。て事は俺達テレビに映んじゃね?」
「何喜んでんのよ、不謹慎じゃ───」
《あー、あー……Atenshon please!》
夏希の言葉を遮りキンと鳴り響く機械音。
次いで聞こえてきたのはどこか楽しそうな声音の男の声。
この場に不吊り合いな放送は更に続く。
《えー、本日はご乗車頂き誠にありがとうございまーす。行き先は死の都。只今から切符の回収に参りますので、暫しお待ち下さーい》
最後にフフっと笑い聞こえなくなった放送。
不快な音に耳を塞いでいた慎哉達は放送の意味が理解できずにいた。
「何?死の都?どういう事?」
「よくわからねぇけど、何かヤバいよな?此処に居たらダメな気がする……」
前方の車両から響いてきた女性の悲鳴に動揺する輝と夏希。
慎哉も恐怖するが1つ息を吐き気を紛らわす。
「…とりあえず此処から出よう。あの窓からなら抜け出せそうだ」
横転した際に割れた窓。
丁度人1人通れそうな大きさに割れた其処からなら何とか脱出できそうだ。

