全ての灯りが消えた車内。
トンネルの中である為辺りは真っ暗だ。
「っ……」
現状を把握しようと倒れた身体を起こす慎哉。
頭を打ったのだろう、酷い頭痛に顔をしかめ、身体を走る劇痛に唇を噛み締める。
「…事故……脱線したのか……?」
携帯のライトで辺りを照らす。
暗がりに浮かぶのは横転した車内。
窓硝子は割れ、崩れた荷棚がぶら下がる。
「輝……?夏希……?」
近くに居た筈の友の名を呼ぶと、前方で片手を挙げる輝の姿が目に映る。
「大丈夫か?」
「あぁ、とりあえず……」
額の血を拭い立ち上がる輝。
隣で不安そうな顔をする夏希も無事のようだ。
「にしても事故って……ついてねぇな……」
「そうね……でも3人共大した怪我じゃなくて良かったじゃない」
「無事助かったんだ、その点においてはついてたのかもな」
共に顔を見合わせ一安心する慎哉達。
胸をなで下ろす3人を更に安心させるように車内の灯りが点灯した。

