「今日の昼お前の奢りな」 「は?何でよ」 「この電車に乗れたのは誰のお陰だと思ってる、俺のお陰だぜ」 「何言ってんのよ。輝は何もしてないじゃない」 「残念だったな、証人なら此処いるぜ、なぁ慎哉」 「否、俺にふるな」 「何が証人よ、只先に乗って笑ってただけじゃない。ねぇ慎哉」 「だから俺に───」 電車がトンネルへと姿を隠したその時、何の前触れも無く慎哉達の身を襲う衝撃。 耳をつんざく機械音。 反射的に出る悲鳴。 それはあまりに唐突過ぎて、何が起きたのか瞬時に理解する事は不可能だった。