ガタリと揺れ速度を上げる快速電車。
静かな車内にアナウンスが流れ始める。
「夏希も大変だな、体育祭へ向けての早朝練習。やる気満々のクラスだって皆言ってるよ」
「団結力だけはあるのよ、うちのクラス。運動部が少ないんだし、勝ち目なんて無いのにね」
「ハハッ分かってるじゃないか。勝つのは俺達のクラスに決まってる。なんたって俺が居るんだからな!」
勝ち誇ったように笑う輝。
隣で溜め息を吐く夏希はそんな彼の言葉を否定しない。
何時も以上に早いこの電車に乗ったこの2人。
その訳は夏希にあるようだ。
「慎哉は部活でしょ?朝早くから大変ね」
「まぁ、好きでやってる事だから」
他愛ない会話。
何時も通りの日常。
冗談を言い合い笑い合い、何ら変わりない日々が続く筈だった彼等の運命。
だが平和だったその日々は一瞬にして崩れ去る。

