「大西…、こんな、弱みにつけ込む感じで悪いが、俺と…付き合ってくれないか?武内さんのことなんか、すぐに忘れさせてやるし、大西を泣かせたりしないから…。」

佐伯が、ポツリ、ポツリと一言ずつ呟いた。

「でも、私は…、武内先輩のこと…」

「いい。俺が振り向かせて見せるから。だから、付き合って。」

私は、うなづいた。


あの日から、私はグラウンドを見ないようにしていた。

でも、やっぱり私のこの気持ちは消えなかった。