体育館の窓からは、グラウンドがよく見える。

校舎側からは角度が着いていて、サッカー部は見えにくいらしい。

そして、部活の時間がかぶっている私にとって、サッカー部を見れる時間は1日二回。

部活前のカーテンを閉める時間、部活終わりのカーテンを開ける時間。

その時間は、一番輝いている武内先輩を独り占めできる気がして、幸せ。

だから、一番好きな仕事。


次の日も、いつものように、部活終わりにカーテンを閉めに行った。

いつもと違ったのは、そのあと、男バス部の一人に声をかけられたこと。

「なぁ、お前さぁ、いつもカーテン閉めてるよな?」

男バス部と女バス部は、2面あるコートを一面ずつ分けている。

「うん。この仕事好きだもん。」

よく見ると、隣のクラスの佐伯 遼(さえき りょう)君だった。

確か、去年、同じクラスだったと思う。

「なんで?」

「え?なんでって…せ、先輩を見下せるから。」

男子に本当のことを言うと、学校じゅうに広まりそうだ。

まあ、広まって、私の気持ちを武内先輩に知ってもらえるのなら、悪くはないのかも///