先ほどの、なんでサークルでは入らないの?
という問いかけを思い出し、慌てて笑顔を取り繕う。


「んー、なんかこれと言った特技がなくて。」


あはは、と笑ってみた。


ここ何年かで笑顔の作り方も大分、上手くなった。


「薫…くん、は何か入ってるの?」

無難に名前にくん付けで呼んでみる。
理由は簡単。
下の名前のが親近感もてるし。


「ああ俺?軽音。」

「楽器、弾けるんだー⁉︎」

大げさに驚いてみせる。

「大学はいってからだからまだ一年くらいだけど…ギターやってる。」


「そっかー、大学入って始めるのも有りなんだね。」


「おーい、薫何か歌えよー。」


…と、話が進んで来たところに誰かの声が割って入った。

「何言ってんだよ、お前ヴォーカルじゃん。お前が先だろっ」