愛菜ちゃんはいきなり話しかけられたせいか、大きな目でパチリと一回瞬きした。


「んー、なんかこれと言った特技がなくて。」


あはは、と笑う愛菜ちゃん。


「薫…くん、は何か入ってるの?」

向こうも無難に名前にくん付け。


「ああ俺?軽音。」

「楽器、弾けるんだー⁉︎」

「大学はいってからだからまだ一年くらいだけど…ギターやってる。」


「そっかー、大学入って始めるのも有りなんだね。」


「おーい、薫何か歌えよー。」


…と、話が若干進んで来たところに俊哉の声が割って入った。

「何言ってんだよ、お前ヴォーカルじゃん。お前が先だろっ」