私は、普通の着物屋の町娘のおゆき。
もう16歳で、結婚してもいい歳だったが、結婚はしてなく、苗字はない。結婚の話になると、いつも父上がお見合い相手を連れてくる。
私はそれがイヤだった。父上の連れてきた相手に、ドキッとしたことなんて、一ミリもない。
結婚するなら、好きな人と。それに憧れていたから、毎回私がどうしてもと言って断っていた。
好きな人は・・・、醤油屋の奏太郎。
好きと言うか、、、幼馴染で。いつも遊んでた男の子。
ちょっとつめたいけど、、、頼もしいヤツだから、一生ついて行きたい感じで。。
結婚は、、奏太郎としかやだ。
そして、私は昔からお調子者で、暴れん坊だったから、女の子たちとあやとりとかお人形で遊んだことがなかった。
いつも奏太郎とか男の子と、木登りとか、追いかけっことかして遊んでいた。
それと、この歳になってもいたずらっ子で、いつも父上と母上の物にこっそり何かを仕掛けていた。
今日は、父上の部屋にある鏡に、墨を塗ってやろうと、部屋に入った。筆に墨をたっぷり含ませると、鏡に二重丸を書いた。
すると、何かに吸い込まれる感覚がした。
ハッとして見ると、さっきの二重丸が渦を書いていた。
それと同時に、その鏡の中に吸い込まれていった・・・。