でも、愁さんは父に殴られるがまま抵抗も身を守るために避ける事もしなかった。
「お父さんやめてぇーお願いやめてぇぇーー!」
父はドアを開け、廊下に愁さんを出した。
私も布団を体に巻き廊下に出た。
そして、愁さんの前に立った。
「お願い…お父さんやめて…」
「お前には婚約者がいるんだぞ!自分の立場を考えるんだ!」
そう言うと父は愁さんをヒツジ室に入れ鍵をかけた。
私は泣きじゃくり…
ヒツジ室の前の廊下に座り込んだ。
「愁さん…ぅぅ…愁さん…ごめんなさい…しゅっ…うさん…」
何度も名前を読んだ。
父は座り込む私を見てみぬふりをし、横を素通りしどこかに行ってしまった。

