つぎの日。

ただの授業の始まる挨拶だというのに、私の心臓はうるさくなりひびいていた。

「気をつけ、礼」

運がいいのか悪いのか、今日は私が日直の日。
そして一時間目は上山先生の理科だった。

昨日の出来事のせいでまともに寝れなかった私の頭は、かなりボーっとしていた。

先生の顔を見て、先生の声を聞いてるだけでなんだか幸せな気持ちになってきちゃって。

人間って不思議。
恋って意識しちゃった瞬間、世界が変わるんだから。

きっとこれは「初恋」
私は先生に「恋しちゃった」

その結論をだしたことに、私は後悔していなかった。

「今日日直だれだ?えーっと…」

日直…?わ、私じゃん!!
どうしよう…

心臓がうるさい。
先生の顔ばかり見てて、全然集中してなかった!!

「西野」

先生が私の名前を呼んだ…!
じゃ、なくて。

「…はい…」

ど、どうしよう…!?

「ここはAとB、どっち?」

ここ…?あ、この問題…
フレミングの左手の法則を使うはず…!

こっちが電流の向き、こっちが磁界の向き?
あれ?力の向きは…?

「西野、これは右ネジの法則使うんだよ?笑」

先生が笑った。
うう、失敗…

「は、はい!えっと、えっと…」

「B!」

隣の席の宮田さんが、私が答えをいうより早く答えてしまった。

「正解!じゃあ次これな」

ただのバカだと思われたかも…っ
でも私、宮田さんみたいに頭よくないもん…

たぶん私いま顔真っ赤だ…
なんだか泣きそうになっちゃって顔をあげられずに、涙をこらえていた。

ぽんっ

先生の手が、私の頭にのっかった。

私、驚いて顔を上げる。

「あとで質問しにこいよ?教えてやるから」

「はい…」

やばい…
顔から火が出そう…っ