なんか橘のおかげでちょっと気分が晴れたかも…。


でもやっぱり鉄のドアは冷たくて重い。


ドアを開けようとしたけど、隙間から漏れた音が全身へと突き刺さった。


「夕愛ってさなんか人に合わせすぎっていうか、猫かぶってるっていうか…」


「あたしもそれ思う!」


「だってさ、さっき由空トイレ行ってたじゃん」


「うん」


「その時『あいつぶりっ子』とかめっちゃ悪口言ってたよ」


「え?何それサイテー!!」


「でしょう?」


「あんな猫かぶってる奴に言われたくないし」