イヤなやつ…なのに、



「全然いたくねーしー。ばーか。」

けっこう思い切り踏んだのに、來斗は余裕な顔をしている。


「ば、ばかじゃないっ!」


そういって、足を踏み鳴らす。


あ、またやっちゃった。


昔から感情が顔と行動に出やすいとよく言われる。そのせいで、好きな人もばれやすくて、直したいと思ってるんだけど…


「褒め言葉ありがとよ。それよりお前、もっと女らしくしろよ。」


「そんなの分かってるけど、來斗に言われたくないっ!」


「あっそ、別にいいけど~。ほらっ、この筆箱取り返してみろよ、チビ。」


そういって來斗は私の筆箱をうばい、不適な笑みをうかべると、立ち上がって筆箱をもった腕を伸ばした。

まるで動物を餌で釣るようにぶらんぶらんする來斗。

完全にバカにしてる!


「返してよーっ」


私は筆箱をつかもうと頑張って背伸びをする。


けど、158センチの私が、180センチくらいのの來斗に届くわけもない。


來斗の顔をみたら、イタズラな顔で私を見下ろしている。この顔からしてそう簡単には返してくれなさそう。