イヤなやつ…なのに、



こうなったら!

私は、ジャンプして腕をつかんだ。

だけど、私の力では腕は下がらず、わたしの足はつま先しか床についていない。

すると、腕をつかんでいた手が滑り、私はバランスを崩した。

「…っっ」


倒れる!

急なことに立て直すこともできず、ぎゅっと目をつぶった。

・・・あれ…痛くない

目を開けると、來斗が私を腕で支えてくれていた。


まるで、來斗が私を抱きしめてるような格好に、カァーっと熱を帯びる顔。


「ご、ごめんっ!」


來斗はニヤけて、

「顔真っ赤だけど、だいじょーぶ?」

と、今一番触れてほしくないことを言ってきた。

私はなんていったらいいのかわからず…

「気のせいだよっ!」


と、ごまかしておいた。