「今日は帰らない。1日いなくなったくらいで親も心配なんかしないよ。」
「じゃあ、どこで泊まるんだよ。金も持ってないんだろ?俺は面倒なことになる前に早く帰った方がいいと思うぞ。それか電話くらいしろ。携帯貸すからさ。」
「青山君に私の気持ちなんかわかるわけないよっ!もう、ほっといて。もう私行くから。」
青山君の上着を返して私は公園を出ようとした。
「俺はわかるよ。」
ぽつりと青山君は呟いた。その声に私の足も止まる。
「俺さ、中学の時まで児童養護施設に住んでたんだ。そこにいる理由は親に捨てられたから。それから誰にも引き取られることのないままでさ。」
青山君は続ける。
「俺はさ、早くそこを出たくて高校から一人暮らしをするようになった。だからさ、俺はお前みたいに一度も家族というものができたことがないんだよ。」
「あ、青山君…。なんか、ごめん。」
知らなかった。そんな過去があるなんて。私は何てバカなことを言ってしまったんだろうと後悔した。
「いいよ。じゃあ家まで送るよ。もう遅いから。帰ろう。」
「うん。」

