速水side

熱のせいで意識が朦朧としてるメイを抱き上げて無菌室まで連れてきた。

そーっとベッドにメイをおろすと、メイの目が開いた。

メ「…またこのお部屋…」

熱で正常な判断が出来なくなってるけど、自分が無菌室に戻ってきたと分った瞬間にきっと無意識に出た言葉。
その表情はとにかく寂しそうな顔をしていた。

この部屋での治療、やっぱり嫌だよな。
こんな部屋、寂しいに決まってるよな…

ここ何日かメイがこの部屋でどんな思いで治療を受けて、過ごしてきたのか考えると胸が痛くなった。

速「あと3日で抗がん剤治療終わるから…もうちょっと頑張ろうな…」

もううとうととして意識が朦朧としてるメイの頭を撫でながら呟いた。

今回の治療、ちゃんと効いてくれればいいんだけど…
効かなかったらまた治療の繰り返し…

メイを寝つかせながら、自分がメイに対して特別な感情を抱いていることに気づいた。

俺は患者の気持ちに寄り添って共感はするけど、基本的に感情移入はしないようにしている。感情に流されてしまうと、医者としての正常な判断ができないから。

けどめいに対しては感情移入してしまってる自分がいる。
メイに死んで欲しくないから、嫌がる治療を無理やり受けさせている自分がいることに気づいた。
本当はもっと患者の治療が嫌だっていう気持ちもくみ取ってあげなきゃなのに…

ごめんな、メイ。
俺はやっぱりメイに生きてて欲しいから、お前が嫌がってでも治療する。

俺間違ってるかな…

そんなことを考えながら、メイの寝顔を見つめていた。