そしてその日は薬のせいで眠気が止まらなくて、寝たりうとうとしたりを繰り返して結局次の日の朝になった。
あぁ、今日から治療なんて嘘だよ。
絶対になんかの間違えだ。
朝からそんなことを心の中でつぶやいてたけど、現実はそう甘くない。
朝の10時頃。健斗が病室に入ってきた。
中「メイー、今日から1週間抗がん剤はじめるよ。新しいお部屋の準備できたからお引越ししよう。」
メ「…行きたくない」
中「言うと思った。俺もメイが治療してるつらい姿なんて見たくないよ?けど俺は何もしないで病状が悪化していって苦しむメイの方がもっと見たくない。」
メ「……」
中「ってことで、行くよ!」
健斗に手を引っ張られてある個室の前に連れてこられた。
中「はい、入ってね」
中に足を踏み入れるとそこは信じられない部屋。
ベッドの周りはビニールのようなもので囲まれていて、トイレも洗面台も小さな個室の中に全てついている。
メ「…なんでベッドのまわりがビニールみたいなのでかこまれてるの?」
中「メイはこれから強い薬を使って免疫力が落ちゃうから、細菌とかにすぐ感染しやすくなっちゃうの。だからビニールで囲まれてる中で過ごしてもらって、感染を防ぐんだよ。」
メ「…ビニールの外から出ちゃダメなの?」
メイの目にはどんどん涙がたまっていく。
中「基本的にはダメだよ。トイレとかくらいしか。あと病室からは1週間ほぼ出られないからね…」
その言葉を聞いてメイの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
あたしには今日から自由がないんだ…
もう…なんかどうでもよくなって来ちゃったよ。
こんなの嫌だって抵抗する気力もわかない…
あたし生きてる意味ある…??
