「今、コーヒーでも入れますね」
「いいよ。帰る」
誰もいないし。
このツーショットは嫌だ。
「お急ぎですか?」
「いや……」
「じゃぁ入れます」
人の返事を聞かずに事務所の台所へと消えてゆく女子。
あーあ
来なきゃよかった。
早く帰ろう。
イスに座って業界紙を読んでると俺のマグカップが目の前に置かれた。
口にすると
「美味しい」反射的に出る言葉。
「スプーンでインスタント2杯半、お砂糖半分の半分、ミルクは1杯ですよね」
「……うん」
「他の方のも覚えました。早く宮城さんに出したくて来るのを待ってました」
その『舞ってました』が
いつの日の『舞ってました』と重なり
ピンクフラミンゴコスプレで舞う姿が重なって思い出し笑い。
すると
「あ、笑ってくれた」
嬉しそうな顔をされて
俺は自分で笑うのを止めた。
「すいません」
自分の言葉で俺が嫌な思いをしたと感じ、彼女は真剣な顔で謝る。
「別に、そんなんじゃないけど」
「宮城さんってクールで笑わないイメージなので、笑ってくれて嬉しかったんです。ごめんなさい」
「クールじゃないし。癒し系って呼ばれてるけど」
そう
世間的にはね。
誰も俺の本当の姿を知らないんだろ。
こんなにひねくれた男なのにね。
「寂しがり屋さんって感じがします」
彼女はそう言って「あ……ライブ会場に電話するの忘れてた」と、俺の前から去り自分の机へと戻る。
寂しがり屋さん?
俺が?



