「すいませんっ!」

深々とその場で頭を下げるけど

「ざっけんなこのブス。どーしてくれんじゃこのボケ!」

ADからタオルを奪い取り
顔を真っ赤にして遠藤が叫ぶ。

「顔に傷付けるとは、いい根性してんな姉ちゃん」

相方のデブキャラ鈴木が
これまた怖い顔で同じく怒鳴る。

怖い。
頭ごなしに男の人に怒鳴られて、震えが止まらない。

「まぁまぁ遠藤の兄さん。またその傷もカッコよくてネタにな…」
目の前に金髪頭の山口君がやってきて、和やかに丸く収めようとしたけれど

次の瞬間
山口君は鈴木にド突かれぶっ飛んだ。

「見てたけど彼女は悪くない。むしろそっちが悪い」
スッと安東さんが割って入り、私の震える肩をそっと抱きしめる。
その腕の中に崩れて倒れたい。

さすがのちゃんごらすも、大物には暴力はふるわず

「部外者は引っ込んでて下さい」
怖い顔でそう言う。

「部外者だけど、理不尽な怒りは放っておけない」

一歩も引かない安東さん。

そして
中に入って困る塚本さん。

「ひとりで楽屋に謝りに来い。じゃないと来週から番組降りるからな!」

捨て台詞を残し
ちゃんごらすの2人は自分の楽屋に戻ってしまった。

静まり返るスタジオ。


私……謝りに行かなきゃ。