(ここを開けたら新しい生活が始まるんだ...)
クラスのドアの前でそんなことを思いながらゆっくりと新たな世界の扉に手をかけた

と、その瞬間。
教室にいた全員の視線が俺と龍樹に向けられた。

「入りずらい...」
思わずこぼれた言葉に龍樹は何事もなく返す。
「そうか? え〜と、俺の席は... あ、あそこか!」
そう言うと龍樹は早々に自分の席へと向かって行った。

「お、おい! ちょっと待ってよ!」

慌てて自分の席を確認し、すぐに龍樹との距離を縮めた。

「よかった...。 席龍樹の後ろじゃん!」

俺は人見知りなのだ...

「よかったな、俺が居て。」
バカにした笑みを浮かべながらそう言ってきた龍樹は、こういう場面では緊張しない体質なのだ。