考え事をしている間
いつまにか来ていた綾瀬。
顔をうつむかしている。
ということは本当なんだろうか…。
人で見えなかった黒板は明かされていて
『綾瀬はるひ!教師を誘惑!!』
『可愛い見た目とは裏腹に
本性は悪魔だった!?』
など勝手に書かれている。
ピンポンパンポン
古くさい音が流れる。
「2-A。綾瀬はるひ。
至急生徒指導室に来なさい。
繰り返します……… 」
綾瀬は静かに立って教室を出た。
クラスの奴は笑う中、
俺は綾瀬を見つめていた。
誰も気づくだろうことがない
哀しい一滴の涙に
俺は気づいていた。
近くで
怪しく笑っていることも知らずに。