一通り買い物を終えてレジに向かった。



「あの………。椎名くんですか?」

「!そうですけど……。」

俺に話しかけてきた人は少しはるひの顔に似ていた。

なぜ、俺の名前を知ってるのかはわからない。

「私、はるひの母の美智子です。」

「そうですか…。で、俺に何の御用ですか?」

「少しはるひのことで話したいことがあって、時間空いてるかしら?」

俺は迷わず深く頷きはい、と返事をした。





「ここでいいかしら?」

美智子さんに連れてこられたのはお洒落で落ち着いたカフェだった。


「なに頼む?」

「アイスの珈琲で」

「珈琲とカフェオレお願いします。どちらもアイスで。」


「かしこまりました。」

さっと定員は伝票をおき、工房へと入っていった。


「はるひの事なんだけど。」

「はい。」

俺は美智子さんの話に相槌を入れてききはじめた。


「前にね、はるひの部屋に写真があったの。

それを拾ってみたら、椎名くんだったの。
名前が書いてあったからすぐにわかった。

けどそれはいつもはるひが大事にしてる写真じゃなかったの。

凄く不思議に思ったわ。

椎名くんは見たことあるかしら?

男の子とはるひが海でとった写真。


はるひ、あれを見るだけで幸せそうなのよ。」


写真は見たことがある。

初めてはるひの浮気を疑ったとき。

男との写真だった。

海が背景だったから多分あたりだろう。