今日、やっと綾瀬が学校に来た。
「はるひー!久しぶりー!!」
「休みの間どうしてたの?」
綾瀬は人気者だから、学校に登校するとすぐに人に囲まれる。
「……っ!」
綾瀬と目があってもすぐに反らされる。
もう、俺は綾瀬と付き合っていない。
その事実が頭の中を駆け巡る。
そう思うと何故か俺も気まずくなった。
学校にくるということは、
居なくなるということを取り消したということだ。
綾瀬がまだここに居るってことだけで嬉しくなった。
ガチャ
「……ただいま。」
返事は返って来ないとわかっているのに、ただいま、なんていう。
「何もねぇな……。」
空っぽの冷蔵庫を見て悲しくなった。
俺の親はいないわけでもないし、
一人暮らしなわけでもない。
ただ、親が家に帰ってもいないと言うことだけだ。
母も父もバリバリ外で働いてる。
帰って来るのは月に4、5回だ。
もう一人家族はいる。社会人の兄だ。
幼い頃は年が離れていてもよく遊んでもらっていたが
俺が小学校高学年になるとなくなった。
俺の家計は全員優等生だから勉強に厳しい。
行きたい専門学校にもいかせてもらえなえなかった。
中学校ぐらいから俺の事はほったからしで成績にしか興味なかった。
だけど中兄だけは気にかけてくれた。
そんな家族は俺が嫌いだ。
兄貴は好きだけど。
なんて思い出していると腹の音がなってしまったため
俺は近所のスーパーに出かけることにした。