「待てよ…っ!綾瀬っ!!」


「行くなよっ!!」




「綾瀬ぇぇぇぇ!!!!!!」



いくら叫んでも綾瀬は俺へと振り向かない。


いくら叫んでも綾瀬の気持ちは変わらない。



綾瀬の心は俺の知らない男のものだった。






「好きだ……っ!!!!

はるひぃ………っ!!!!!!!」








「はあっ…!はぁっ……。」



なんだ、夢か。

これが現実だったら俺は立ち直れなかっただろう。




汗だくのTシャツを洗濯機にほうり込み学校へ行く準備をした。





「行ってきます。」

「いってらっしゃぁーい!!」

「あっ!待ってそうた!!」

「なに?母さん。」

「今日のお弁当張り切っちゃったから!楽しみにしててね!」


母さんの高い声とウインクと共に俺は学校へと見送られた。