「そうたくん!一緒に帰ろっ!」
「今いくから!」
俺は小走りで綾瀬のもとへと向かった。
「…そうたくん。…私ね!」
「ん?」
「今付き合ってる人がたくさんいるけど、
その中でそうたくんが一番だから!」
周りからみたら彼女の発言はおかしいかもしれない。
だけど、俺からしたら「付き合ってる人たちの中の『一番』」
というのは嬉しいことだった。
「私はそうたくんが好きだよ!!」
幸せそうに優しい笑顔を俺に向ける彼女を
俺は、ふることなんて出来なかった。
今、決断をしとけば、
俺があんなに無様な裏切られ方なんてされなかったかもしれないのに。


