私は覚悟はしてたハズ
なのに、銀色の刃を腕へ立ててしまった

ごめんね、お母さんお父さん
お兄ちゃんを愛した罪は償いたい

だけど、
もう押さえきれないの






夜、自分の腕へ銀色の刃を当てて引く
赤い雫がゆっくりと白いシーツに落ちて行って

「晋弥兄ちゃん、」



月明かりに照らされた赤い雫が綺麗に見えるのは心が泣いているのだろうか
原因はエスカレートするイジメ、最初は画ビョウなど小さかったが変な人影がうろつく様になった



それを言える訳もないまま、ずっと耐えた結果論がこれになってしまって
疲れたと言わんばかりに理央は何度も自傷を繰り返す



翌朝、初夏の色が見えはじめ衣替えが終わったのに理央は長袖のまま
理由は一つしかない、腕にある傷口を見られてはいけないから



「理央、大丈夫か」


晋弥は理央の顔色を心配したのか眉を潜めて問いかけると理央は笑って“大丈夫”と告げた



理央は早々と外へ出てフラフラしている体を押さえながら歩けば晋弥は心配そうに後ろを歩いてくれる



「晋弥兄ちゃん、大丈夫だ、から…」


言葉を告げた瞬間力の抜ける体、意識は虚ろで晋弥が叫んでいるのに理央の耳は声を受け付けない


救急車のサイレンの音を最後に理央は意識を飛ばした




続く