そう、

『こんばんは、愚かな愚かな人間さん。』

男の頭上に近い空間に彼女は立っていた。
何もないはずの空間にまるで見えない床でもあるように軽やかに。たまにバサリと音をたてて女の背中にある大きな黒い翼が羽ばたく。その姿は恐ろしく、恐怖ばかりを煽るのに、美しさも感じさせた。

男は声もでない。ただただ、見上げるした出来ない男を見て女は話始める。
『あなたは色々悪さをしたのね。
強姦、ひったくり、強盗、そして殺人
あなたが殺めたのは自分の母親ね?
遺産目的だったのかしら?
まぁ、もうどうでもいいわ、あなたも
でしょ?だってあなたは今死ぬんだから』

「……あ、あぁ」

男はもう、声が言葉にならなかった。
ゆっくりと微笑む女は美しく、今まで生きてきた中でなによりも恐ろしかったのだ。

『かわいそうな男。良いことを教えて
あげるわ。人間はね、犯罪をおかすと
寿命が縮むの。わかった?来世に活かす
のよ?もちろん、あなたが覚えていたら
…だけど……まず無理ね♪さぁ、始めま
しょう。光栄でしょ?天上界最強の
子の私があなたを殺してあげるんだから』