「旦那様、奥様。
そろそろ出勤のお時間です」
「お!そっか!
それじゃあ誉、彩の事よろしくな!」
康介は立ち上がり、誉の肩をぽんと叩いた。
「はい。お任せ下さい」
誉は、さりげなく上着を康介に着させ、鞄を持たせる。
それが終わると、直ぐに美優の支度を手伝う。
その仕草は違和感なく、自然で美しく、彩は一瞬見惚れてしまった…。
(って!何見惚れてんの⁈私⁉︎)
ぶんぶん頭を振って、自分も2人を見送ろうと立ち上がった。
「それじゃ、行ってくるな!
彩、クラスも始めてだから、麦ちゃんに迎えに来てもらうように、話といたからな。
後、誉のいうこと、よ〜く聞けよ〜」
「彩ちゃん、新しくお友達できるといいわね♪
また、学校でのお話、聞かせてね〜。
誉ちゃん、後はよろしくね!」
「はい。お気を付けて行ってらっしゃいませ」
「う、うん!
お父さんとお母さんも気をつけてね」
もう、展開が早過ぎてついていけず、彩の笑顔も引きつってしまうが、ほのぼの2人組は、気づかない…。
康介と美優は、それぞれ彩に手を振ると、仲良く手を繋いで、駐車場へと向かって行った。

