ピピピピ…
ピピピピ…
ピピピピ…
ピピピピ…
聞き慣れた目覚ましの音を、遠くに聞きながら、この部屋の主である神倉 彩は、今日の朝食の内容をぼんやりと考えていた。
(…朝食、どうしよう…
卵焼いて…パン焼いて…)
ピピピピ…
ピピピピ…
(ああ、そうだ…ベーコンも焼いて…)
ピピピピ…
ピピピピ…
(…目覚まし、うるさい…
早く消さなきゃ…
お父さん達、起きちゃう…)
目をつぶったまま、彩はいつものように、右側にある目覚ましを止めようと、右手を伸ばし………
ピ………
(…あれ?)
彩が止める前に、目覚ましが止まる。
しかも、目を閉じているが、彩の真上に何かいる気配がある…。
大型のナニカ…
(…?)
その大型のナニカ…が、目覚ましを止めたのか、彩の上から、すっ…とどくのが分かった。
怖い感じは無かったし、まだまだ寝ぼけ眼な彩は、何も考えず、いつも通りゆっくりと目を開けていった。
朝の光が眩しい…
(…え? 私、まだカーテン開けてないのに…なっ、なんで⁈)
太陽の光を浴びてしっかりと目が覚めたのか、今更になって彩は慌てた。
目だけを布団から出して、恐る恐る窓側に目を向けると、長身の男が立っているのが見えた。