「それでは、お嬢様方。
お話もまとまった所で、そろそろ学校にお送りします」
いつの間にか、彩と麦の鞄を持った誉が、軽く頭を下げて、2人を促す。
「ちょっと!話はまとまってないわよ!
なにさらっと流してんのよ!」
麦は憤慨しながら、誉を睨む。
「…そうでしたか。
しかし、そろそろ学校に行きませんと、本当に遅刻してしまいますから」
誉はにっこり微笑んでかわす…。
「あっ、あんたねぇ!」
麦はわなわなと震えるが、次の言葉が出てこない。
(麦ちゃんを黙らすなんて、やっぱりこの誉って人只者じゃないんじゃ…)
彩は軽くあしらわれて、怒りで震える麦と笑顔を崩さない誉を交互に眺める。
(…ホント、何てことになっちゃったんだろう…)
彩はまた1人、溜息をつくしかなかった……

