「おはよう…って、あんたなんで顔赤いのよ」
白城 麦(しらじょう むぎ)は、彩が施設にいた頃からの友達で、ひょんな事から、彩を康介と美優に紹介することになった。
麦の家は大富豪で、両親は海外出張中。
今は、豪邸に執事とメイド、お手伝いさんと暮らしている。
気の強そうな顔と態度に似合わず、身体は福よかでぷよぷよだ。
「へ⁉︎ そ、そう⁈」
彩は麦に言われて、慌てて両手で顔を覆う。
(手を軽く掴まれただけで、赤くなったなんて、恥ずかしくて言えない…)
麦は、「赤いわよ…」と言い、ちらっと誉を見上げた。
「…ちょっと、あんたこの子になんかしたの?
海外で執事を学んでたらしいじゃない。
だから…」
「よくご存知で…」
「ちょ!ちょっと、麦ちゃん!
何言うの! なんにもないから!」
動揺することなく誉は微笑むが、彩は動揺しまくりだ…。
「焦っちゃって、怪し〜」
「そ、それより、麦ちゃん!
ちょっとこっち来てよ!」
彩は、麦の腕を引っ掴み、角に追いやる。

