一瞬、部屋に2人だけの時間が流れ…… ピンポーン チャイムが鳴って、間髪入れずに、 「彩! 迎えに来たわよ!」 聞き慣れた大きなバリッとした声が玄関から聞こえて、彩はハッとして、素早く掴まれていた手を引いた。 「あ! む、麦ちゃん!」 彩が玄関に向かおうとすると、誉にすっと手で制される。 「お嬢様、私が行きます」 そう優しく言うと、玄関に向かっていく。 彩は触れられた手を見つめた。 誉の手は指が長く、筋張った男の人の手で、なんだかドキドキが収まらない… 心臓に悪い執事だ…