コンコン
「お嬢様、お着替えは終わりましたか?」
突然、彩の部屋のドアがノックされ、誉の低く優しい声が聞こえて、彩は飛び上がらんばかりに、なぜか制服のシャツの前を抑えた。
「はっ、はい!
今、終わりました! はい!」
「開けても宜しいでしょうか?」
「あ! 待ってください!
私が行きますから!」
「分かりました」
彩は真っ赤になった顔を、両手で覆いながら、鏡を見つめた。
(もう! なんで私が赤くならなきゃいけないのよ!)
制服に見惚れていて、誉の存在を完璧に忘れていた…。
「落ち着け〜 、落ち着け〜」
彩は深呼吸をして、気持ちを整え、鞄を持ち、部屋を出た。

