ちいさな恋のものがたり。


「...?」


本の背表紙を見ていた私の視線が、ある一冊の本でピタリと止まった。


その本は背表紙に題名が書かれてなかったからだ。


「...日焼けでもしたのかな?」
本の背表紙が日に焼けて薄くなってしまったのかもしれない。本当に題名のない本なんてないのだから。

私はその本を抜き出して、くるりと表紙を見てみた。


「『おとぎばなしのわるもののはなし』?」


書かれていたのは平仮名でその題名と、古い本なせいかかなり薄くなってしまっているが、何かイラストのようなもの。

作者の名前も書かれてはいたが、こっちは部分的にかなり傷んでいて、読み取れなかった。


私は本を開いてみることにした。


ホコリ臭いような匂いがして、長い間開かれていなかったのか、ページをめくる度にキシシ、と音がした。


ページにして15枚。文章は短いものばかりで、平仮名が多かった。
絵が沢山描かれているところをみると、どうやらこれは絵本らしい。


見たことも聞いたこともない話で、私は少しの好奇心から、ぱらぱらとページを捲っていった。