私は、小さい頃から気が弱くて、いつも人の顔色ばかり気にしながら細々とした人生をこれまで送ってきた。

友達がいないわけじゃない。
けど、親友...とか、そんな風に呼べるほど仲のいい友達は、今まで一度もできた事がない。


成績が特別悪いわけでも、運動がまるでダメなわけでもなく、悪目立ちするような所もない...いわば、極普通の、その辺にいそうな女子高校生。それが私の等身大の姿だ。


得意なことは特にないけれど、趣味と言えるのは読書。インドア派の私は外で元気に遊ぶより、室内でゆったりまったりと活字と仲良くしている方が、昔から好きだった。


それがきっかけで、私は中学の三年間と、高校に入って丸1年、図書委員を務めている。そして今年も図書委員になるつもりだ。


私が今こうして教室に残っているのも、その読書好きのせいといえばそうなるかもしれない。


私は鞄から、弁当と、朝自販機で買ってきた午後ティーを机にトン、トンと置いて、一人昼食を食べ始めた。


教室には既に誰もいない。
音がないのも寂しいので、私はスマートフォンを取り出して、小さめの音量で音楽を流しておいた。


人のいない教室はやけに音が響いて、音楽が最小音量のはずなのに、やけに大きく感じられた。


弁当は15分ほどで空になった。
私は弁当箱を包みにくるんで、鞄にしまってから、戸締りをして教室を出た。