翌朝、六時。
いつも通りに目が覚める。
目覚まし代わりの携帯アラームを止め、ベッドの上で上半身を起こした。

「う~っ」

両手を上に突き上げ大きく伸びてから、ベッドを抜け出し洗面所へ向かう。
その途中で気づくいい香り。
リビングのガラス扉からキッチンを覗けば、詩織さんが朝食の準備をしていた。

「そっか。もう、こんなに早起きしなくてもいいんだ」

嬉しいような、申し訳ないような、寂しいような。
うまく説明のつかない感情が胸に広がる。

顔を洗いスッキリしてから、キッチンへ顔を出した。

「おはようございます」

なんとなく、まだ敬語の挨拶。

「おはよう、未知ちゃん。早いのね」

その言葉になんて応えたらいいのか判らず、笑って誤魔化した。

詩織さんは、作ったお味噌汁の味見をしている。

「朝御飯。食べるわよね?」

詩織さんが、少し不安そうな表情で伺う。
そんな詩織さんへ、精一杯の笑顔を返した。

「もちろんです」