父の気持ちを知ってしまった今。
いつまでも、駄々をこねる子供のように膨れてばかりもいられない。
伊達に、父子二人で今まで生きてきたわけじゃない。
それなりに大人にだってなっている。

そんなわけで、土曜日までの三日間。
バタバタと取り掛かったのは、部屋の掃除だった。

詩織さんは、父と夫婦になるのだから同じ部屋で決まり。
けど、息子の陸君は私と一緒、という訳にもいかない。

「どーも」

しか、まだ口を聞いたことのないあの無愛想な彼のための部屋を確保しなくちゃいけない。

小さい子供同士じゃない、年頃の二人だ。
いくら姉弟になるとはといえ、男と女なのだから。

とは言っても、惣領家はそれほど広いわけじゃない。
空いてる部屋と言えば、おばあちゃんの仏壇がある仏間と、父の書斎だけ。
さすがに仏間はまずいだろう。ってことで、父の書斎を空けることにした。

書斎と言っても、今はほとんど使われていない名ばかりのその部屋は、今はまるで納戸のよう。
本棚には、わけのわからない雑誌や本がギュウギュウ詰めに無理やり納まり。
床には、よくわからない資料の山々。
机の上も同じようにそんな感じで、こんなに紙を無駄にしてるのか、と地球に代わって嘆きたくなる。

誇りっぽい部屋を前に、どこからどう片付けるかを考え込んだ。
手っ取り早いのは、全て捨ててしまうのが一番だよね。

その夜から、父と二人、三日かけてその部屋を整理していった。
埃舞う部屋でマスクをし、片っ端からゴミ袋へと紙くず? を放り込んでいく。

「おいっ、未知。何でもかんでも棄てないでくれよ。ああっ、それは要るんだって」

手につかんだ物からゴミ袋へ入れていたら、情けない声で待ったがかかった。

「だって、どれもゴミにしか見えないんだもん」

投げやりに言いつつも、情けない顔の父が可哀想で要、不要を分けていく。

必要なものは、ダンボールやなんかに箱詰めにしていった。