―――― 予想もしなかった出来事 ――――





泉の背中が見えなくなってから、鍵を取り出し家の中へと入った。

「ただいまー」

相変わらず、誰も居ない家の中へ挨拶をし、ローファーを脱いだところで思い出した。

あ……。
また、やっちゃった。

泉と一緒に帰ったことによって、またもスーパーへ寄るのを忘れてしまった。

告白のせいで、そんな余裕はどこにもなかったのだから仕方ないんだけど。
思い出したそれに、はぁと短く息を吐き、自室へ行く。

泉のせいで、ここの所ずっとペースが乱されてばかり。
どうしてか、自分の思うように行かない毎日に、僅かな苛立ちと大きな戸惑いを感じていた。

制服を脱ぎ部屋着に着替え、洗面所へと行く。
眼鏡をはずし、ソフトコンタクトへと付け替えた。

多分、普通は逆なんだろう。

だけど私の場合は、あえてメガネは外にいる時にかける。
キリリとした眼鏡をかけることによって、あまり人を寄せ付けないようにしているからだ。

だけど、実のところ、あまり眼鏡をするのは好きじゃない。
異物感というか、顔の前にある人工的な眼鏡は鬱陶しく感じているんだ。
だから、家に帰るとすぐにコンタクトに付け替える。

コンタクトをしてすっきりしたところで、リビングへ行き腰に手を当て考えた。

さぁて、何を作ろうか。