「あんたなんかっ。いなくなっちゃえばいいのよっ!!」
酷い言葉と共に、物凄い邪気が飛んできた。
それが、ダイレクトに心臓へと直撃する。
「うっ……!」
衝撃に漏れる声。
バクバクと激しくなる心臓。
くる……しい……。
顔をゆがめ、衝撃に身体がふらつく。
相手が力ある者じゃないと解り、軽く見ていた黒谷の嫉妬心が否応なく私へと向けられる。
それは、想像もしなかったほどの力を持って私を脅かした。
普通の人間が持つ、最大の憎念とでもいうように、どす黒い固まりに私は押しつぶされていく。
穴という穴をドロリとしたセメントのようなものが塞いで行くように、息ができなくなっていった。
苦しい……。
制服の胸元をぎゅっと握り、パクパクと地上に上げられた魚のように口を動かす事しかできない。
吸う事も吐く事もできない息。
こんなにも泉を想う念が強いとは、自分の浅はかさに後悔しても時既に遅し。
あまりの憎念に身体が侵され、辛さに力は制御できず、力が勝手にマイナスの方へと開放されていく。
力を使って邪念を跳ね返すどころか、どんどん増していくそれを受け続けてしまう。
呼吸の出来ない苦しさに首元に手をやり、震えだす体に立っていられなくなり、とうとう膝をついた。
私の様子に不審な目を向けながらも、緩む事のない黒谷のもつ憎しみの心。
やめてっ。
そんな強い感情をぶつけないで。
泉が好きなら、泉にそういえば言い。
私を苦しめたって、得られるものなど何もない。
心の中でどんなに叫ぼうとも、声になって出てこない。
呼吸は、苦しいまま。
脂汗が額を濡らし、冷や汗が制服を濡らしていく。
血の気は引き、視界がかすむ。
もう、黒谷の姿すらまともに見えない。
「あんたなんか。死んじゃえばいいのにっ!!」
苦しみ、悶える中でぶつけられた最後の言葉。
最大の憎しみを込めた、最悪の言葉。
黒谷の嫉妬心が、太い杭のようになり私の胸を貫いていく。
鈍く重い痛みが、身体中を襲った。
あぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――――!!
声にならない叫び声を最後に、意識が、飛んだ――――…。



