そして、そのまま視界がぐるりと回る。
「ってえ…、」
なんとか頭を打つことは防いだが、背中を思いっきり地面に打ち付けた。
マジで、痛い。
しかも背中打ったのに、腹も痛い。
……腹?
慌てて首を持ち上げると……なんと、男が俺に跨っていた。
しかも俺は見つめられている。
……は?
……え、ちょ、ちょっと?
でも男は俺と目が合っているのに何も反応せず、ただ見つめられている……ってか、こいつ固まってる?
見たことのないやつ。
でも顔は結構整っている。
もう、何なんだよこいつ。
なんで俺、男に押し倒されてんの。
「……どけよ」
そう男に向かって言っても、男は俺の顔を見つめたまま微塵たりとも動かない。
そしてやっと口を開いたかと思ったら…。
「あ、愛梨ちゃんが…、野郎に変わってしまった…。か、返せよ!俺の愛梨ちゃんを返せーっ!」
…は?
こいつ、何?
思わず顔をしかめてしまうと、男はキッと俺を睨み。
なんと俺の肩をグワングワンと揺らしだした。
「ちょ、やめろって!」
視界がぐらぐらと揺らぐ。
しかも乱暴に揺らしているから打ち付けた背中が地面に当たって相当痛い。
もう無理だ、と思って拳を固めたとき……。
ドガっという音と共に。
俺の上に乗っていた男が吹っ飛んだ。
……………………え?


